新聞
2012年01月24日
毎日新聞「くらしナビ」に取材記事
毎日新聞平成24年1月24日付け朝刊 「くらしナビ」に記事が掲載された
第2次性徴の発達障害:睾丸の大きさ、自己触診を 早期治療で将来の不妊防ぐ
◇熊本の医師、中・高校で指導
将来の不妊の原因にもなる第2次性徴の発達障害を見逃さないようにと、男子の性徴のバロメーターとなる精巣(睾丸(こうがん))の大きさを中高生らに自分自身で確認させようというユニークな取り組みが熊本県で広まりつつある。【丹野恒一】
「よかった。ちゃんと大きくなってる」「おれのは大丈夫かな」。熊本県立鹿本商工高の保健室で、男子生徒らが仕切りのカーテンに隠れて自分の下着の中をチェックし、声を掛け合う。そばに置かれたポスターにはこんなキャッチコピーが大書されている。
「お〜い男子諸君!! たまには、玉の大きさ気にしろよ!」
養護の村上加代子教諭は「大切なことだが、本人以外は確認しづらい。女子生徒の目が気になるようなので、ポスターは男子トイレの壁に張って実践を促している」と話す。
ポスターを作ったのは泌尿器科「池田クリニック」(同県合志市)の池田稔院長。「大人になってから男性不妊の疑いで受診し、そこで初めて第2次性徴の発達障害に気付く人が多い。何とか早期発見できないかと自己触診の啓発を思いついた」という。親交がある漫画家のタイム涼介さんにイラストを頼み、昨春、自費で300枚印刷した。学校での取り組みは中学・高校で年間約40回行っている性教育講演を通じて広がっている。
精巣は左右に一つずつ楕円(だえん)形の玉があり、10歳ぐらいまでは一つの容積が平均1〜2ミリリットル程度だが、3ミリリットルに達して第2次性徴が始まると、5年ほどで20ミリリットル前後にまで大きくなる。しかし、ホルモン分泌の異常などが原因で幼児期のサイズのままだったり、大きくなり始めても途中でストップしたりすることがある。
本来はある程度の大きさになると男性ホルモンが分泌され、陰毛やひげが生えて声変わりするが、小さなままだとそうした変化が起こらない。また、精巣が十分に大きくならないと自然妊娠で子どもをもうけられるだけの精子が作られにくいことも分かっている。陰茎の勃起(ぼっき)や射精は可能でも精子が作られていないことがあるため見過ごされる恐れもある。
池田院長が提唱する自己触診法は、親指と人さし指で輪を作り、陰のう(袋)で包まれた精巣を一つずつはめてみる方法だ。精巣が15ミリリットル前後あれば、平均的な指の長さなら指の輪を通り抜けることはない。逆にスカスカと通過する場合は第2次性徴の成長障害が起きている可能性が高い。
精巣が小さい特徴をもつ病の一つ「クラインフェルター症候群」は、500〜1000人に1人いるが未成年の段階では気付かれないことが多いといわれる。池田院長は「発達には個人差があるが、高校1年になっても指の輪を通ってしまうようならば泌尿器科や内分泌科に相談してほしい」とアドバイスする。
◇ ◇
奈良県立医大の岡本新悟・臨床教授(内分泌・代謝)も約2年前から、県内の養護教諭の会合などで精巣の大きさをチェックする重要性を訴えている。今後は、精巣のサイズをひと目で確認できる簡易なモデルシートをつくり、中学卒業時に男子生徒にプレゼントする活動を提言していこうと考えている。
学校での健康診断の実施は学校保健安全法で定められているが、第2次性徴は検査項目に入っていない。岡本臨床教授は「それでは全く子どもの成長期をチェックしていることにならない」と手厳しい。養護教諭らが「何か異常があるのでは」と気付いても、結果的に問題がなかった時に予想される親からの抗議などを考えると「項目にないことは口に出しにくい現実もあるようだ」という。
第2次性徴の発達障害は、特に男子の場合はホルモン分泌の異常の原因として脳腫瘍が隠れていることがある。また、思春期に発見してホルモン注射などで治療すれば、将来子どもを持てる可能性が高くなり、活力や学習効率が上がることも期待できる。岡本臨床教授は「単に発見が遅れたというだけで治療のチャンスを逃した患者をたくさん見てきた。最終的には学校段階で患者を見逃さないルールやシステムの構築が必要だが、自衛策としてまずは精巣の自己触診を普及させたい」と語る。
◇「大きさ気にした経験ある」1割
池田院長が一昨年、熊本県内の男性141人(23〜54歳)に行ったアンケートからは、男子の第2次性徴の発達障害が見逃される理由が推察できる。
陰茎と精巣の大きさを気にした経験があるかを尋ねた質問では、陰茎は7割が「ある」と答えたが、精巣は1割を切った。精巣の大きさを気にした時期は中学生で3割弱、高校生が6割強。気にしたことがあると答えた14人のうち1人が友達に、1人が医療機関に相談したが、残る12人は誰にも相談していなかった。
親が異常を発見できる場所として、風呂に一緒に入っていた時期を尋ねると、小学4年までで7割強がやめ、小学6年までには9割以上が親と入浴しなくなっていた。
池田院長は「第2次性徴が始まるころの子どもは親には下半身を見せず、精巣ではなく陰茎のサイズを気にしていることが分かった。女子の場合は母親が月経の有無に注意を払うが、男子はそうした機会がないため早期に発見されにくいのだろう」と話す。
==============
■陰茎・精巣の大きさについて
気にしたことがある
陰茎 精巣
ある 70.2 9.9
ない 29.8 90.1
「ある」の場合の時期
陰茎 精巣
小学生 3.0 0
中学生 35.4 28.6
高校生 28.3 64.3
20歳代 20.2 7.1
今も 13.1 0
相談相手
陰茎 精巣
なし 86.9 85.7
親兄弟 1.0 0
友だち 11.1 7.1
医療機関 1.0 7.1
(池田クリニックの調査から。単位%)
第2次性徴の発達障害:睾丸の大きさ、自己触診を 早期治療で将来の不妊防ぐ
◇熊本の医師、中・高校で指導
将来の不妊の原因にもなる第2次性徴の発達障害を見逃さないようにと、男子の性徴のバロメーターとなる精巣(睾丸(こうがん))の大きさを中高生らに自分自身で確認させようというユニークな取り組みが熊本県で広まりつつある。【丹野恒一】
「よかった。ちゃんと大きくなってる」「おれのは大丈夫かな」。熊本県立鹿本商工高の保健室で、男子生徒らが仕切りのカーテンに隠れて自分の下着の中をチェックし、声を掛け合う。そばに置かれたポスターにはこんなキャッチコピーが大書されている。
「お〜い男子諸君!! たまには、玉の大きさ気にしろよ!」
養護の村上加代子教諭は「大切なことだが、本人以外は確認しづらい。女子生徒の目が気になるようなので、ポスターは男子トイレの壁に張って実践を促している」と話す。
ポスターを作ったのは泌尿器科「池田クリニック」(同県合志市)の池田稔院長。「大人になってから男性不妊の疑いで受診し、そこで初めて第2次性徴の発達障害に気付く人が多い。何とか早期発見できないかと自己触診の啓発を思いついた」という。親交がある漫画家のタイム涼介さんにイラストを頼み、昨春、自費で300枚印刷した。学校での取り組みは中学・高校で年間約40回行っている性教育講演を通じて広がっている。
精巣は左右に一つずつ楕円(だえん)形の玉があり、10歳ぐらいまでは一つの容積が平均1〜2ミリリットル程度だが、3ミリリットルに達して第2次性徴が始まると、5年ほどで20ミリリットル前後にまで大きくなる。しかし、ホルモン分泌の異常などが原因で幼児期のサイズのままだったり、大きくなり始めても途中でストップしたりすることがある。
本来はある程度の大きさになると男性ホルモンが分泌され、陰毛やひげが生えて声変わりするが、小さなままだとそうした変化が起こらない。また、精巣が十分に大きくならないと自然妊娠で子どもをもうけられるだけの精子が作られにくいことも分かっている。陰茎の勃起(ぼっき)や射精は可能でも精子が作られていないことがあるため見過ごされる恐れもある。
池田院長が提唱する自己触診法は、親指と人さし指で輪を作り、陰のう(袋)で包まれた精巣を一つずつはめてみる方法だ。精巣が15ミリリットル前後あれば、平均的な指の長さなら指の輪を通り抜けることはない。逆にスカスカと通過する場合は第2次性徴の成長障害が起きている可能性が高い。
精巣が小さい特徴をもつ病の一つ「クラインフェルター症候群」は、500〜1000人に1人いるが未成年の段階では気付かれないことが多いといわれる。池田院長は「発達には個人差があるが、高校1年になっても指の輪を通ってしまうようならば泌尿器科や内分泌科に相談してほしい」とアドバイスする。
◇ ◇
奈良県立医大の岡本新悟・臨床教授(内分泌・代謝)も約2年前から、県内の養護教諭の会合などで精巣の大きさをチェックする重要性を訴えている。今後は、精巣のサイズをひと目で確認できる簡易なモデルシートをつくり、中学卒業時に男子生徒にプレゼントする活動を提言していこうと考えている。
学校での健康診断の実施は学校保健安全法で定められているが、第2次性徴は検査項目に入っていない。岡本臨床教授は「それでは全く子どもの成長期をチェックしていることにならない」と手厳しい。養護教諭らが「何か異常があるのでは」と気付いても、結果的に問題がなかった時に予想される親からの抗議などを考えると「項目にないことは口に出しにくい現実もあるようだ」という。
第2次性徴の発達障害は、特に男子の場合はホルモン分泌の異常の原因として脳腫瘍が隠れていることがある。また、思春期に発見してホルモン注射などで治療すれば、将来子どもを持てる可能性が高くなり、活力や学習効率が上がることも期待できる。岡本臨床教授は「単に発見が遅れたというだけで治療のチャンスを逃した患者をたくさん見てきた。最終的には学校段階で患者を見逃さないルールやシステムの構築が必要だが、自衛策としてまずは精巣の自己触診を普及させたい」と語る。
◇「大きさ気にした経験ある」1割
池田院長が一昨年、熊本県内の男性141人(23〜54歳)に行ったアンケートからは、男子の第2次性徴の発達障害が見逃される理由が推察できる。
陰茎と精巣の大きさを気にした経験があるかを尋ねた質問では、陰茎は7割が「ある」と答えたが、精巣は1割を切った。精巣の大きさを気にした時期は中学生で3割弱、高校生が6割強。気にしたことがあると答えた14人のうち1人が友達に、1人が医療機関に相談したが、残る12人は誰にも相談していなかった。
親が異常を発見できる場所として、風呂に一緒に入っていた時期を尋ねると、小学4年までで7割強がやめ、小学6年までには9割以上が親と入浴しなくなっていた。
池田院長は「第2次性徴が始まるころの子どもは親には下半身を見せず、精巣ではなく陰茎のサイズを気にしていることが分かった。女子の場合は母親が月経の有無に注意を払うが、男子はそうした機会がないため早期に発見されにくいのだろう」と話す。
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■陰茎・精巣の大きさについて
気にしたことがある
陰茎 精巣
ある 70.2 9.9
ない 29.8 90.1
「ある」の場合の時期
陰茎 精巣
小学生 3.0 0
中学生 35.4 28.6
高校生 28.3 64.3
20歳代 20.2 7.1
今も 13.1 0
相談相手
陰茎 精巣
なし 86.9 85.7
親兄弟 1.0 0
友だち 11.1 7.1
医療機関 1.0 7.1
(池田クリニックの調査から。単位%)
2011年10月19日
毎日新聞 H23年10月18日
平成23年10月2日日本性科学学会(慈恵医大西新橋校)会場で受けたインタビューの内容の一部が記事になりました
境界を生きる:性分化疾患・決断のとき/中 「自分でなくなる」投薬中止
◇「普通の男性」望んだが 成人後始める治療、継続困難
大学1年の冬、サークルの合宿で仲間と風呂に入るのが急に恥ずかしくなった。21歳になっていたが、陰毛はなく、声も小学生のままだった。新潟大歯学部5年の大田篤さん(24)は人目をはばかり民間病院を受診したが、結局自ら通う大学に紹介され、2年の夏に性分化疾患の一つ「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」と診断された。ホルモンの異常で2次性徴が起きない疾患だった。
「原因があったんだ。治療すれば治るんだ」。ショックはなく、むしろ肯定的に受け止めた。
週1回、腹部に自己注射するホルモン治療を始めると、数カ月で変化が表れた。声が低くなり、ひげや陰毛が生え、初めて射精した。「なよなよした体」は筋肉質に変わり、鏡を見るのが楽しくなった。初めて経験する性欲には戸惑った。「無意識のうちに視線が女性の胸元に行くなんて、思ってもみなかった」
しかしある時、ふと疑問がわいた。「これは望んでいたことか」。治療は「普通の男性」になるためだったのに、まるで飢えた獣にでもなってしまった感覚だった。大田さんは「それこそが思春期なのかもしれないが、僕の場合は薬で人工的に変化したので、何かが違うと感じた」。
治療を始めて1年9カ月後の昨冬、すっぱりと治療をやめた。ホルモンが足りず不健康になるだろうし、子どもを作ることもできなくなるが、それでもよかった。主治医に告げると「最近、中性がはやってるからね」と笑い、反対もしなかった。「自分は男」という認識が揺らいだことは一度もない。医師の言葉にカチンときたが「そうじゃない。自分が自分でなくなるのが嫌なんだ」という心の叫びはぐっとのみ込んだ。
こうした疾患を診ることが多い池田クリニック(熊本県合志市)の池田稔院長は、治療が持続するかどうかは開始した年齢と深く関係すると感じている。不妊をきっかけに結婚後に治療を始めた患者は、男性ホルモンの重要性を理解はしても、妻が妊娠するとほとんど来なくなる。一方、10代で始めた患者は今も全員が治療を継続しているという。
池田院長は「思春期に男性ホルモンが低い状態で自己を確立した人は、成人後に治療でホルモンを平常値にしても、自分でないような感覚になるのではないか」との仮説を立てる。
ホルモン治療をした大田さんは、後悔の念にさいなまれている。「注射を打つたび男らしくなっていくのが、あれほどうれしかったのに」。太くなった声や筋肉質の体は元に戻らない。ひげや体毛にも嫌悪感がある。一度は劣等感から解放してくれた治療が今は恨めしい。下宿の隅に積んでいた未使用のアンプルは、捨てた。
*
「娘の人生を私が決めてしまった」「いいえ、選んだのは私」。神奈川県在住の佐藤真紀さん(45)と長女(24)には互いを思いやるやさしさがあふれている。
89年正月、帰省先の福島県で長女は脱腸を起こし、緊急手術を受けた。手術中に廊下に出てきた医師の言葉に佐藤さんは耳を疑った。「睾丸(こうがん)が見つかりました。腸と絡み合っているので切り取ります。おなかを開いたままなので時間がありません。いいですね」。長女は出生時に膣口(ちつこう)が開いていなかったが、染色体をはじめ10日ほどかけてじっくり調べ、女性で間違いないと診断されていた。
東京にいる夫とは連絡がつかない。「娘は男だったんだ。でも、私の一存で男として生きる可能性を断ち切ることになる」。そんな思いが頭を駆け巡ったが、医師は「お母さん、どうしますか」と迫ってくる。「じゃあ、切ってください」と言うしかなかった。手術室のドアがしまると、義母の前で号泣した。すべてが終わった後、ようやくつながった電話で夫は「そばにいてあげられなくてごめん。一人で大変な決断をさせてしまったね」と謝った。
東京の大学病院で再検査を受けると、女性としての発達が不十分になる「ターナー症候群」だが、性染色体に男性化とかかわりが深いY染色体のかけらがある特殊な例だと分かった。
佐藤さんには他に3人の子がいる。「弟や妹と比べると違いがよく分かる。男女どっちでもないというか、どっちでもあるというか……」という。
小学4年のとき、学校での性教育が近いと知り、佐藤さんは長女に初めて詳しい話をした。「おなかの中にあるはずの赤ちゃんの部屋がないかもしれないんだ」
長女は答えた。「他の子と違うみたいだと、何となく思っていた。赤ちゃんを産むのは怖いからいいよ」。しかし「本当はショックだった」と今、打ち明ける。
中学生になると、骨粗しょう症の防止などでホルモン治療が必要になった。幼少時の手術の決断を十字架のように背負っている佐藤さんは「男女どっちを選んでもいいんだよ」と言ったが、長女は女性ホルモンを選んだ。「あまり女性的にはなりたくない」と生理が来ない程度の量にした。17歳のときには「簡単な手術で膣口も作れる」と医師から勧められたが、断った。
「本人の意思を尊重しているが、決まった道を行くのと違い自己責任がある。可哀そうな面がある」。佐藤さんはいう。
長女はいま税理士事務所で働く。一人でも生きていけるようにと、税理士を目指している。「両親はずっと『どんな道を選んでも、あなたが好きなことに変わりはない。味方だからね』と言い続けてくれた。それが私を支えている」。長女は穏やかな表情でふり返る。
*
「男性ならこう生きるべきだ」「女性ならこんな治療を受けるべきだ」。性分化疾患の当事者たちは、男女に二分された社会でプレッシャーを受けながら、自分らしい生き方を模索している。【丹野恒一】
==============
◇低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
精巣の働きに深く関係する脳の視床下部や下垂体からのホルモン分泌が悪いために2次性徴や精子形成ができなくなる疾患。陰茎の発達も悪く、陰毛や脇毛が生えない、においを感じにくい、といった症状が出ることもある。若年では見過ごされることも多く、不妊をきっかけに見つかるケースが少なくない。
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境界を生きる:性分化疾患・決断のとき/中 「自分でなくなる」投薬中止
◇「普通の男性」望んだが 成人後始める治療、継続困難
大学1年の冬、サークルの合宿で仲間と風呂に入るのが急に恥ずかしくなった。21歳になっていたが、陰毛はなく、声も小学生のままだった。新潟大歯学部5年の大田篤さん(24)は人目をはばかり民間病院を受診したが、結局自ら通う大学に紹介され、2年の夏に性分化疾患の一つ「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」と診断された。ホルモンの異常で2次性徴が起きない疾患だった。
「原因があったんだ。治療すれば治るんだ」。ショックはなく、むしろ肯定的に受け止めた。
週1回、腹部に自己注射するホルモン治療を始めると、数カ月で変化が表れた。声が低くなり、ひげや陰毛が生え、初めて射精した。「なよなよした体」は筋肉質に変わり、鏡を見るのが楽しくなった。初めて経験する性欲には戸惑った。「無意識のうちに視線が女性の胸元に行くなんて、思ってもみなかった」
しかしある時、ふと疑問がわいた。「これは望んでいたことか」。治療は「普通の男性」になるためだったのに、まるで飢えた獣にでもなってしまった感覚だった。大田さんは「それこそが思春期なのかもしれないが、僕の場合は薬で人工的に変化したので、何かが違うと感じた」。
治療を始めて1年9カ月後の昨冬、すっぱりと治療をやめた。ホルモンが足りず不健康になるだろうし、子どもを作ることもできなくなるが、それでもよかった。主治医に告げると「最近、中性がはやってるからね」と笑い、反対もしなかった。「自分は男」という認識が揺らいだことは一度もない。医師の言葉にカチンときたが「そうじゃない。自分が自分でなくなるのが嫌なんだ」という心の叫びはぐっとのみ込んだ。
こうした疾患を診ることが多い池田クリニック(熊本県合志市)の池田稔院長は、治療が持続するかどうかは開始した年齢と深く関係すると感じている。不妊をきっかけに結婚後に治療を始めた患者は、男性ホルモンの重要性を理解はしても、妻が妊娠するとほとんど来なくなる。一方、10代で始めた患者は今も全員が治療を継続しているという。
池田院長は「思春期に男性ホルモンが低い状態で自己を確立した人は、成人後に治療でホルモンを平常値にしても、自分でないような感覚になるのではないか」との仮説を立てる。
ホルモン治療をした大田さんは、後悔の念にさいなまれている。「注射を打つたび男らしくなっていくのが、あれほどうれしかったのに」。太くなった声や筋肉質の体は元に戻らない。ひげや体毛にも嫌悪感がある。一度は劣等感から解放してくれた治療が今は恨めしい。下宿の隅に積んでいた未使用のアンプルは、捨てた。
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「娘の人生を私が決めてしまった」「いいえ、選んだのは私」。神奈川県在住の佐藤真紀さん(45)と長女(24)には互いを思いやるやさしさがあふれている。
89年正月、帰省先の福島県で長女は脱腸を起こし、緊急手術を受けた。手術中に廊下に出てきた医師の言葉に佐藤さんは耳を疑った。「睾丸(こうがん)が見つかりました。腸と絡み合っているので切り取ります。おなかを開いたままなので時間がありません。いいですね」。長女は出生時に膣口(ちつこう)が開いていなかったが、染色体をはじめ10日ほどかけてじっくり調べ、女性で間違いないと診断されていた。
東京にいる夫とは連絡がつかない。「娘は男だったんだ。でも、私の一存で男として生きる可能性を断ち切ることになる」。そんな思いが頭を駆け巡ったが、医師は「お母さん、どうしますか」と迫ってくる。「じゃあ、切ってください」と言うしかなかった。手術室のドアがしまると、義母の前で号泣した。すべてが終わった後、ようやくつながった電話で夫は「そばにいてあげられなくてごめん。一人で大変な決断をさせてしまったね」と謝った。
東京の大学病院で再検査を受けると、女性としての発達が不十分になる「ターナー症候群」だが、性染色体に男性化とかかわりが深いY染色体のかけらがある特殊な例だと分かった。
佐藤さんには他に3人の子がいる。「弟や妹と比べると違いがよく分かる。男女どっちでもないというか、どっちでもあるというか……」という。
小学4年のとき、学校での性教育が近いと知り、佐藤さんは長女に初めて詳しい話をした。「おなかの中にあるはずの赤ちゃんの部屋がないかもしれないんだ」
長女は答えた。「他の子と違うみたいだと、何となく思っていた。赤ちゃんを産むのは怖いからいいよ」。しかし「本当はショックだった」と今、打ち明ける。
中学生になると、骨粗しょう症の防止などでホルモン治療が必要になった。幼少時の手術の決断を十字架のように背負っている佐藤さんは「男女どっちを選んでもいいんだよ」と言ったが、長女は女性ホルモンを選んだ。「あまり女性的にはなりたくない」と生理が来ない程度の量にした。17歳のときには「簡単な手術で膣口も作れる」と医師から勧められたが、断った。
「本人の意思を尊重しているが、決まった道を行くのと違い自己責任がある。可哀そうな面がある」。佐藤さんはいう。
長女はいま税理士事務所で働く。一人でも生きていけるようにと、税理士を目指している。「両親はずっと『どんな道を選んでも、あなたが好きなことに変わりはない。味方だからね』と言い続けてくれた。それが私を支えている」。長女は穏やかな表情でふり返る。
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「男性ならこう生きるべきだ」「女性ならこんな治療を受けるべきだ」。性分化疾患の当事者たちは、男女に二分された社会でプレッシャーを受けながら、自分らしい生き方を模索している。【丹野恒一】
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◇低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
精巣の働きに深く関係する脳の視床下部や下垂体からのホルモン分泌が悪いために2次性徴や精子形成ができなくなる疾患。陰茎の発達も悪く、陰毛や脇毛が生えない、においを感じにくい、といった症状が出ることもある。若年では見過ごされることも多く、不妊をきっかけに見つかるケースが少なくない。
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2011年02月08日
熊本日日新聞H23年2月8日
性犯罪 どう防ぐ 「当事者意識を」 熊本市で講演会
「性犯罪」をテーマにした講演会が5日、熊本市のホテルであり、性犯罪を防ぐ方法などを探った。県保険医協会女性医師部会(板井八重子部会長)の主催。医師や中高校の養護教諭ら約70人が参加した。
県警科学捜査研究所の田口真二管理官ら3人が講演。田口管理官は「性犯罪は身近に起こり得る犯罪。当事者意識を持って向き合うことが必要」などと指摘。中高校で性教育活動なども行う池田クリニック(合志市)の池田稔院長は、性犯罪者の実際の治療例を挙げながら「薬で男性ホルモンを抑えれば、性行動を抑制し、再犯防止できる可能性が高い」と説明した。
また、浦野エイミ・くまもと被害者支援センター長は「性犯罪の被害者は想像を絶する精神的苦痛にさいなまれる。相談や関係機構への付き添いに努めたい」と話した。
「性犯罪」をテーマにした講演会が5日、熊本市のホテルであり、性犯罪を防ぐ方法などを探った。県保険医協会女性医師部会(板井八重子部会長)の主催。医師や中高校の養護教諭ら約70人が参加した。
県警科学捜査研究所の田口真二管理官ら3人が講演。田口管理官は「性犯罪は身近に起こり得る犯罪。当事者意識を持って向き合うことが必要」などと指摘。中高校で性教育活動なども行う池田クリニック(合志市)の池田稔院長は、性犯罪者の実際の治療例を挙げながら「薬で男性ホルモンを抑えれば、性行動を抑制し、再犯防止できる可能性が高い」と説明した。
また、浦野エイミ・くまもと被害者支援センター長は「性犯罪の被害者は想像を絶する精神的苦痛にさいなまれる。相談や関係機構への付き添いに努めたい」と話した。
2011年01月24日
夕刊フジに記事が出た その3
ホテルサンルート2階の『喫茶室ルノアール』での取材
あれから、おおよそ半年
3回目の記事が ”夕刊フジ” に掲載されました
『zaKzaK』http://www.zakzak.co.jp/
健康コーナー ”ED タチのいい話、悪い話”
『精液中に抑うつ成分? ”顔射”で美肌効果も』
パートナーと固く結ばれるセックスが、お互いの精神面に多分にいい影響を与えることは簡単に想像がつく。が、最近の海外の論文に、男性の“射精”と女性の“抑うつ”の微妙な関係を調べた研究報告があるというから興味深い。
「池田クリニック」(熊本県)の池田稔院長は、その研究が導き出している考察について「男性がコンドームを付けずに女性の腟内に射精をすると、精液に含まれる何らかの成分が吸収され、女性は“うつ”になりにくくなるのではないかというもの」と説明する。
これは米国・ニューヨーク州立大学の研究グループが293人の女子大生を対象にアンケート調査を用いて行った研究で、セックス時に「必ずコンドームを付ける群」と「ときどき付けない群」に分け、抑うつの程度を比較検討したものだ。調査では、女性のピルによる影響の可能性も事前に除外しているという。
結果は、ときどき付けない女性の方が抑うつの程度が低かったということから、腟内から吸収された精液に含まれる成分がセロトニンなどの脳内物質の分泌に何らかの影響を与えている可能性を推測しているが、その成分の断定はこの研究では明らかにされていない。
その後、対象者を700人に増やして再度、研究が行われているそうだが、まだ結果は報告されていないという。
池田院長は「もしかしたら抑うつに精液の成分がいいのかもしれない。が、もうひとつ考えられるのは、女性が『中に射精してもらった、彼のものを受けとめた』と感じることで幸福感が増しているとも考えられる」と指摘し、「実際のところ精液の成分には、何のために含まれるのか分かっていない未知の部分がたくさんある」と話す。
精液に含まれる成分には、亜鉛、ホスホリルコリン、プロスタグランジン、果糖など多数。
プロスタグランジンは平滑筋を収縮させる生理活性物質として知られ、「ホスホリルコリンは成分を浸透させる作用がある保湿成分。高級化粧品などにも配合されている」(池田院長)という。
AVでよくみられる“顔射”。もしかして美肌効果があるのかも?
あれから、おおよそ半年
3回目の記事が ”夕刊フジ” に掲載されました
『zaKzaK』http://www.zakzak.co.jp/
健康コーナー ”ED タチのいい話、悪い話”
『精液中に抑うつ成分? ”顔射”で美肌効果も』
パートナーと固く結ばれるセックスが、お互いの精神面に多分にいい影響を与えることは簡単に想像がつく。が、最近の海外の論文に、男性の“射精”と女性の“抑うつ”の微妙な関係を調べた研究報告があるというから興味深い。
「池田クリニック」(熊本県)の池田稔院長は、その研究が導き出している考察について「男性がコンドームを付けずに女性の腟内に射精をすると、精液に含まれる何らかの成分が吸収され、女性は“うつ”になりにくくなるのではないかというもの」と説明する。
これは米国・ニューヨーク州立大学の研究グループが293人の女子大生を対象にアンケート調査を用いて行った研究で、セックス時に「必ずコンドームを付ける群」と「ときどき付けない群」に分け、抑うつの程度を比較検討したものだ。調査では、女性のピルによる影響の可能性も事前に除外しているという。
結果は、ときどき付けない女性の方が抑うつの程度が低かったということから、腟内から吸収された精液に含まれる成分がセロトニンなどの脳内物質の分泌に何らかの影響を与えている可能性を推測しているが、その成分の断定はこの研究では明らかにされていない。
その後、対象者を700人に増やして再度、研究が行われているそうだが、まだ結果は報告されていないという。
池田院長は「もしかしたら抑うつに精液の成分がいいのかもしれない。が、もうひとつ考えられるのは、女性が『中に射精してもらった、彼のものを受けとめた』と感じることで幸福感が増しているとも考えられる」と指摘し、「実際のところ精液の成分には、何のために含まれるのか分かっていない未知の部分がたくさんある」と話す。
精液に含まれる成分には、亜鉛、ホスホリルコリン、プロスタグランジン、果糖など多数。
プロスタグランジンは平滑筋を収縮させる生理活性物質として知られ、「ホスホリルコリンは成分を浸透させる作用がある保湿成分。高級化粧品などにも配合されている」(池田院長)という。
AVでよくみられる“顔射”。もしかして美肌効果があるのかも?
2010年06月18日
夕刊フジに記事が出た その2
ホテルサンルート2階の『喫茶室ルノアール』での取材
あれから、おおよそ3週間
2回目の記事が ”夕刊フジ” に掲載されました
『zaKzaK』http://www.zakzak.co.jp/
健康コーナー ”ED タチのいい話、悪い話” 81話
『悪ふざけで陰茎を入れると危険!』
穴をみると、ついくだらぬ発想をしてしまうのが“男の性(さが)”。誰も見ていないからと悪ふざけで、陰茎を無理に入れたら最後。抜けなくなってしまうことがあるから要注意だ。
“危険な穴”とは、たとえば「指輪」「ビンの口」「金属リング」など。身のまわりにある穴のあいた物なら何でもだ。
「印象に残っているのは、お風呂でシャンプー容器の口に入れてしまったケース。“スルッ”と入ってしまうので、『あっ、何だか気持ちいい』と思ったとたん勃起して抜けなくなってしまう」と大まじめで警告するのは、池田クリニック(熊本県)の池田稔院長。
医学的には「陰茎絞扼(こうやく)症」と呼ばれ、陰茎が血液の循環障害に陥り、締め付けられた先の部分がうっ血して浮腫んだ状態になってしまうという。
でも、少し時間がたち勃起が納まれば自然と抜けそうだが、そう簡単にはいかないらしい。
「陰茎動脈は陰茎の中を通るので血液の流入に問題ないが、血液が返っていく陰茎静脈は陰茎の表皮の近くにあり圧迫を受ける。いったん循環障害が起こると、絞扼部(締め付けられた部分)より先の部分は浮腫が生じて大きくなるので、時間がたてばたつほど絞扼物を取り除くのが難しくなる」(池田院長)
また、輪ゴムや糸などでしばっても同じような状態になるという。締め付けた輪ゴムや糸が陰茎に食い込むように埋もれてしまうのだ。
池田院長は「包茎の人が亀頭を常に露出しておこうと、皮をむいてしばっておいて発症させてしまうことがある。高齢者では尿漏れを防ごうと輪ゴムで止めていて起こるケースがある」という。
発症したら、「恥ずかしいから…」と泌尿器科の受診をためらっていたら危険。陰茎絞扼症をきっかけに尿道の途中に穴があいたり、尿道狭窄や陰茎の壊死(えし)などを引き起こす恐れがある。
また、自分で無理に抜こうすると陰茎組織を傷つけて器質性ED(勃起障害)になる心配も。
「医療機関で早期に解除してもらうことが大事だが、それ以前にやたらと穴に入れない注意が大切」と池田院長。
気持ちは分かるが、悪ふざけはほどほどに。
あれから、おおよそ3週間
2回目の記事が ”夕刊フジ” に掲載されました
『zaKzaK』http://www.zakzak.co.jp/
健康コーナー ”ED タチのいい話、悪い話” 81話
『悪ふざけで陰茎を入れると危険!』
穴をみると、ついくだらぬ発想をしてしまうのが“男の性(さが)”。誰も見ていないからと悪ふざけで、陰茎を無理に入れたら最後。抜けなくなってしまうことがあるから要注意だ。
“危険な穴”とは、たとえば「指輪」「ビンの口」「金属リング」など。身のまわりにある穴のあいた物なら何でもだ。
「印象に残っているのは、お風呂でシャンプー容器の口に入れてしまったケース。“スルッ”と入ってしまうので、『あっ、何だか気持ちいい』と思ったとたん勃起して抜けなくなってしまう」と大まじめで警告するのは、池田クリニック(熊本県)の池田稔院長。
医学的には「陰茎絞扼(こうやく)症」と呼ばれ、陰茎が血液の循環障害に陥り、締め付けられた先の部分がうっ血して浮腫んだ状態になってしまうという。
でも、少し時間がたち勃起が納まれば自然と抜けそうだが、そう簡単にはいかないらしい。
「陰茎動脈は陰茎の中を通るので血液の流入に問題ないが、血液が返っていく陰茎静脈は陰茎の表皮の近くにあり圧迫を受ける。いったん循環障害が起こると、絞扼部(締め付けられた部分)より先の部分は浮腫が生じて大きくなるので、時間がたてばたつほど絞扼物を取り除くのが難しくなる」(池田院長)
また、輪ゴムや糸などでしばっても同じような状態になるという。締め付けた輪ゴムや糸が陰茎に食い込むように埋もれてしまうのだ。
池田院長は「包茎の人が亀頭を常に露出しておこうと、皮をむいてしばっておいて発症させてしまうことがある。高齢者では尿漏れを防ごうと輪ゴムで止めていて起こるケースがある」という。
発症したら、「恥ずかしいから…」と泌尿器科の受診をためらっていたら危険。陰茎絞扼症をきっかけに尿道の途中に穴があいたり、尿道狭窄や陰茎の壊死(えし)などを引き起こす恐れがある。
また、自分で無理に抜こうすると陰茎組織を傷つけて器質性ED(勃起障害)になる心配も。
「医療機関で早期に解除してもらうことが大事だが、それ以前にやたらと穴に入れない注意が大切」と池田院長。
気持ちは分かるが、悪ふざけはほどほどに。
2010年06月11日
夕刊フジに記事がでた
ホテルサンルート2階の『喫茶室ルノアール』での取材
あれから、おおよそ2週間
まず1回目の記事が ”夕刊フジ” に掲載されました
『zaKzaK』http://www.zakzak.co.jp/
健康コーナー ”ED タチのいい話、悪い話” 80話
「週20回以上ムラムラする過剰性欲の理由』
中年になると普通は性欲の減退を感じるが、中には年齢に似合わない“過剰性欲”に悩まされる人がまれにいる。
「少なくとも週20回以上、多いときは1日5−6回、射精するまで収まらない強い性的欲求が起こり、仕事を中断せざるをえなくなる」と実際にあった症例(Aさん・48歳)を話すのは、「池田クリニック」(熊本県)の池田稔院長。
その異常に強い性欲は20歳前後から衰えることなく続いていたというからたまらない。ミニスカートから出た太もも、見えそうで見えない胸元、香水などの刺激によってスイッチがオン。
自慰、風俗店、20代半ばからは妻を相手に欲求を満たしてきたが、40歳も過ぎると体力消耗でヘトヘト。次第に妻に性行為を拒否され、「このままでは性的過ちを犯すのでは」と心配になり、自ら受診してきたという。
過剰な性欲と聞くと、よほど性ホルモンの分泌が旺盛なのだろうと思ってしまう。が、Aさんの血液中のテストステロン(男性ホルモン)値を測ると正常範囲内なのだ。
池田院長は「男性ホルモンが正常範囲値より低ければ性欲は落ちる(男性更年期障害の状態)が、正常範囲内であれば値の高い、低いと性欲の強い、弱いが相関するものではない」と説明し、過剰性欲の原因を「脳の感受性や性欲中枢の問題」と指摘する。
しかしながら、性欲を司る脳の性欲中枢は、おおよそ間脳や視床下部辺りにあることぐらいしか、まだハッキリ分かっていない。原因はおそらく、その脳の一部が反応しやすくなっている。
または、脳には必ず刺激を受けて活発に働く神経と抑制する神経があってバランスを保っているので、「抑制する神経が働いていない場合も考えられる」(池田院長)と推測の域だ。
Aさんの場合、女性ホルモン剤の内服でテストステロン値を正常範囲以下に抑制したことで強い性欲は消失した。が、女性ホルモンの長期投与は胸が出てきたりする体の女性化や副作用の心配もある。結局、本人と妻の希望で最終的には睾丸2
つを摘出したという。
中高年の性欲、あればあったで日常生活に支障をきたすようなら受診を考えよう。
あれから、おおよそ2週間
まず1回目の記事が ”夕刊フジ” に掲載されました
『zaKzaK』http://www.zakzak.co.jp/
健康コーナー ”ED タチのいい話、悪い話” 80話
「週20回以上ムラムラする過剰性欲の理由』
中年になると普通は性欲の減退を感じるが、中には年齢に似合わない“過剰性欲”に悩まされる人がまれにいる。
「少なくとも週20回以上、多いときは1日5−6回、射精するまで収まらない強い性的欲求が起こり、仕事を中断せざるをえなくなる」と実際にあった症例(Aさん・48歳)を話すのは、「池田クリニック」(熊本県)の池田稔院長。
その異常に強い性欲は20歳前後から衰えることなく続いていたというからたまらない。ミニスカートから出た太もも、見えそうで見えない胸元、香水などの刺激によってスイッチがオン。
自慰、風俗店、20代半ばからは妻を相手に欲求を満たしてきたが、40歳も過ぎると体力消耗でヘトヘト。次第に妻に性行為を拒否され、「このままでは性的過ちを犯すのでは」と心配になり、自ら受診してきたという。
過剰な性欲と聞くと、よほど性ホルモンの分泌が旺盛なのだろうと思ってしまう。が、Aさんの血液中のテストステロン(男性ホルモン)値を測ると正常範囲内なのだ。
池田院長は「男性ホルモンが正常範囲値より低ければ性欲は落ちる(男性更年期障害の状態)が、正常範囲内であれば値の高い、低いと性欲の強い、弱いが相関するものではない」と説明し、過剰性欲の原因を「脳の感受性や性欲中枢の問題」と指摘する。
しかしながら、性欲を司る脳の性欲中枢は、おおよそ間脳や視床下部辺りにあることぐらいしか、まだハッキリ分かっていない。原因はおそらく、その脳の一部が反応しやすくなっている。
または、脳には必ず刺激を受けて活発に働く神経と抑制する神経があってバランスを保っているので、「抑制する神経が働いていない場合も考えられる」(池田院長)と推測の域だ。
Aさんの場合、女性ホルモン剤の内服でテストステロン値を正常範囲以下に抑制したことで強い性欲は消失した。が、女性ホルモンの長期投与は胸が出てきたりする体の女性化や副作用の心配もある。結局、本人と妻の希望で最終的には睾丸2
つを摘出したという。
中高年の性欲、あればあったで日常生活に支障をきたすようなら受診を考えよう。